美容師法とは？法律の内容や法令違反による罰金・罰則も解説｜美容師/美容室の求人・転職専門サイト【ビューティーキャリア】

2021/02/21

美容師法とは？法律の内容や法令違反による罰金・罰則も解説

美容師を目指すために必ず在籍する美容師養成施設では、美容師法についても学びます。美容師の国家資格を有し、美容師として働くためには、美容師法についてしっかり把握し厳守することが必須です。

仮にうっかりであっても美容師法に違反して働くと、美容師免許がはく奪されたり、摘発されたりします。

そこで今回は、美容師法とはどのような法律なのか詳しく説明します。現在美容師を目指している方はもちろん、すでに美容師として働いている方も、ぜひ参考にしてください。

1.　美容師法の項目を詳しく解説

美容師法の始まりは、昭和22年に誕生した「理容師法」です。実はもともと、美容師法は理容師法の中に組み込まれていましたが、美容師として適正な業務が行われることを目的に、10年後の昭和32年に「美容師法」が確立されました。

美容師法が確立されたことに伴い、現在まで美容師の仕事に関するさまざまな規定が法律で定められています。ここからは、美容師法として定められている一部の項目を、わかりやすく解説します。

1-1.　美容師の定義

厚生労働省の「美容師法概要」では、美容師を下記のように定義しています。

第二条　この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。
2　この法律で「美容師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて美容を業とする者をいう。

（引用：e-Gov法令検索「昭和三十二年法律第百六十三号美容師法」）

上記から美容師は、厚生労働大臣が認定する美容師免許を得ることが必須であり、カットやパーマ、ヘアセットなどの施術により、容姿を美しくする仕事をする者を指すことがわかります。

美容師免許を有していない方は、美容師を名乗ることはもちろん、美容業を行うことができません。無免許の美容師が美容業を行うと、法令違反として何らかの罰則を受けます。

1-2.　美容所について

美容師法における美容所に関する内容は、下記のとおりです。

3　この法律で「美容所」とは、美容の業を行うために設けられた施設をいう。

（引用：e-Gov法令検索「昭和三十二年法律第百六十三号美容師法」）

美容師は、美容所で美容を行わなくてはならない。ただし、疾病等により美容所に来られない者に対して行う場合や婚礼等の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に行う場合、その他都道府県が条例で定める場合には出張して行うことができる。なお、出張専門で行う美容師も対象者がこの条件を満たす限り可能となる。

（引用：厚生労働省「美容師法概要」）

美容師は、美容業を行うことを目的に設けられた美容所でしか、仕事を行うことができません。そのため、美容所として認められていない場所で美容業を行うと法令違反となります。

なお、疾病などやむを得ない場合は、特定の条件を満たすと美容所以外の場所で美容業を行うことが可能です。

また、美容所を開設する場合は、美容師法で定められている下記の措置を講じる必要があります。

第十三条　美容所の開設者は、美容所につき、次に掲げる措置を講じなければならない。
一　常に清潔に保つこと。
二　消毒設備を設けること。
三　採光、照明及び換気を充分にすること。
四　その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置

（引用：e-Gov法令検索「昭和三十二年法律第百六十三号美容師法」）

上記の条件を満たしたうえで、都道府県知事（一部を除き）に届け出をし、検査を済ますと美容所を開設できます。

1-3.　消毒について

美容師法では、美容業を行う際、下記の消毒措置を講じることがすべての美容師に定められています。

第八条　美容師は、美容の業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。
一　皮ふに接する布片及び皮ふに接する器具を清潔に保つこと。
二　皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替え、皮ふに接する器具を客一人ごとに消毒すること。
三　その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置

（引用：e-Gov法令検索「昭和三十二年法律第百六十三号美容師法」）

上記の条例では簡潔に記されていますが、実際には各道具・道具の状態によって消毒方法が細かく定められています。
下記は、定められている消毒方法の一部です。

煮沸消毒	沸騰後2分間以上煮沸する
エタノール消毒	76.9％～81.4％の消毒用エタノール液に10分間以上浸す
次亜塩素酸ナトリウム消毒	0.01％～ 0.1％の次亜塩素酸ナトリウム液に10分間以上浸す
紫外線照射消毒	85μW/c㎡以上の紫外線を連続20分間以上照射する

美容師が美容業で扱う仕事道具は、何らかの理由で血液が付着することも珍しくありません。どの器具も正しく消毒していなければ、法令違反となるだけでなく、お客さんにウイルスを感染させてしまうおそれもあります。

1-4.　管理美容師について

「いつかは自分のサロンを持ちたい」と考えている美容師は、管理美容師についての法令を把握しておくことが必須です。

第十二条の三　美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所（当該美容所における美容の業務を含む。）を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者（以下「管理美容師」という。）を置かなければならない。ただし、美容所の開設者が第二項の規定により管理美容師となることができる者であるときは、その者が自ら主として管理する一の美容所について管理美容師となることを妨げない。
2　管理美容師は、美容師の免許を受けた後三年以上美容の業務に従事し、かつ、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者でなければならない。

（引用：e-Gov法令検索「昭和三十二年法律第百六十三号美容師法」）

つまり、同じ美容所に美容師が2人でもいる場合は、美容業に3年以上従事し管理美容師の講習を修了した「管理美容師」がいなければ、美容師法に違反するということになります。

常に美容師1人で営業しているサロンはほとんどありません。いつかは自分のサロンを持ち、多くの美容師を雇いたいのであれば、管理美容師の資格は必須です。

2.　美容師法に違反するとどうなる？

美容師法に違反して美容所で働いていると、違反が明るみに出た場合、下記のさまざまな罰則が科せられます。

●30万円以下の罰金が科せられる
●美容所が業務停止になる
●美容師免許がはく奪される
●逮捕される

美容所が業務停止になると、自分だけでなくほかの従業員にも多大な迷惑がかかります。また、よほどのことがない限り逮捕はされないものの、悪質なケースでは実際に逮捕された例も存在します。

このような罰則を科せられないためにも、美容師法を遵守しましょう。

まとめ

ここまで、美容師が知っておくべき美容師法について、一部をわかりやすく説明しました。

今回説明した以外にも、美容師法にはさまざまな法令が存在します。美容師養成施設や国家試験の勉強で必ず学ぶものですが、量が多いだけに忘れてしまうことも珍しくありません。

うっかり美容師法に違反してしまい、罰則を科せられるということがないように、美容師として働き始めたあとにも定期的に美容師法の内容を確認しておきましょう。

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